位置
カンチェルスキス






 歪みきった顔が映ってる鏡のそばから
 雨の音が聞こえる
 誰にも気づかれないドアが
 回転してる
 最後の階段だけない
 から
 おれは右足を開封して左手で閉じた
 年齢制限のない果物を傷つけた
 
 

 地下鉄のホームで身投げする
 嘘を
 ついた
 どんなときでも
 銀行通帳の残高を気にした



 壊れたピアノの脚を
 手にするために
 紫を買った
 傾斜のついた音たちが
 肩をこぼれ
 腕にこぼれ落ちた



 真珠の真ん中がほしい
 泡のついた排水口がほしい



 枯れた黄色のサンダルの一方が
 十字路にあって
 垂れ落ちた電線に
 絡まっている


 
 揺り起こしたら
 すぐに目覚めた
 枕元で辞書が
 燃えていた
 


 弱冷車の片隅に落ちた
 日光に照らされ
 浮かんだ血管の束を
 集めている



 穴の開いた部屋
 敷き詰めた白のタイルの反射で
 おれはいなくなって
 いつでもそこから
 笑い話が生まれた
 

 





自由詩 位置 Copyright カンチェルスキス 2004-08-19 19:49:23
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