東京タワー
邦秋

今、東京の夜にいます。
赤羽橋に着きました。

ふと、顔を上げてみたならば、
東京タワーが見えました。

何、となく引き寄せられはじめ、
そちらに向かって行きました。

なかなか近付かないタワー。
やきもきしながら歩いていると、

瞬間、ビルに隠れてしまって、
すっぽり丸ごと飲み込まれても、

それでも直方体の端から、
真っ赤や橙は漏れていて、

見えぬのに消えぬ存在感も
僕の足を動かすその魔法も

すべての人を呼び寄せてしまうのも、
そしてなかなか近付けないのも、

まさか、安易に飲み込まれることすら、
それはまるで、君のようです。


自由詩 東京タワー Copyright 邦秋 2009-02-24 06:47:10
notebook Home 戻る