創書日和「塩」 やさしみ
山中 烏流




きみのいない部屋で
わたしが鳥になる

透明を匂わすそらが
手招きをしているから
わたしは、どうしても
行かなければならない



窓を開く前に
おにぎりを作って
置いていこう

あふれでた感情の
やわらかな塩辛さで
握っておいてあげる

冷めても、きっと
おいしいままだろうから
心配しないでね


あたたかさが欲しいなら
暖めなおしてもいい
いいから

捨てることだけは
しないでほしい

もし、捨てたとしたら
おにぎりに込めた色々が
あふれでて、うみになって
きみの部屋を埋めて
そして



きみのいない部屋で
わたしが鳥になる

透明を匂わすそらが
手招きをしているから
わたしは、どうしても
行かなければならない





明日には、帰るよ。



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自由詩 創書日和「塩」 やさしみ Copyright 山中 烏流 2009-02-21 19:02:44
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