変な女の忘れ物
榛原花那



おびただしいメモを

トランプのように並べたら

墓石に コツコツ名前を刻んでたみたいで

ひっくり返しても 朱はなくて


どうしてだぁれも呼ばなかったの?

箱庭からつま先立って

どうしてだぁれも呼ばなかったの?

アタマの宇宙は そりゃあ広いけど

向こうをゆくひとの宇宙は もっと広かったのに


パズルのピースは

自分だけが握っているわけじゃないって

普通は知らないものね

だけどぴったりハマったと思ったパズルでも

長い間には ぽろっと落ち抜けていたり

パズルの全景が見えてなかったりするんだよ

ピースが多すぎたのね たぶん

自分のじゃないピースまで缶に入ってたんだね



変な女の忘れ物って

不思議と似通っている

風に消えてしまうものばかり

変な女の忘れ物って

みんな気づかないけど

命ほど大事なものだって

みんな気づかないけど



なのに持っては逝かれないんだよね




自由詩 変な女の忘れ物 Copyright 榛原花那 2009-02-21 09:43:20
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