遠距離バス
小川 葉

 
かなしみに
慣れてしまったなら
ほんとうの
かなしみなんて知らない

かなしみが
暮らしになったなら
かなしみは
いつもともだち

ほんとうの
かなしみを
ひた隠しにしたまま

わたしには
ともだちだけがいて
恋人は
まだいない

かなしみに
慣れてしまったなら
わたしには
恋人しかいない

ほんとうの
かなしみには
気づかぬふりをして

バスは発ってゆく
あるがままの
かなしみで
 


自由詩 遠距離バス Copyright 小川 葉 2009-02-21 02:02:43
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