空のはなし
この子

新しいバイトで小さな宗教団体のチラシを配る(時給900円);;アパートの端の部屋、ドアを叩く、横の窓から食器用洗剤と人影が見えている「すみません、少しお時間よろしいでしょうか」「ごめんなさい、どちらさま、ええ、ああ、わたし空のお話ってきらいなんです。そんなもの、誰かから聞くほどのものではありませんわ、だってわたしには物心ついたときから空はありましたし、いつだって空は見てきました、お話もたくさんあります、だから結構!!」ドアがしまると『チラシお断り』と立て札があった。なるほどこれはしょうがない、と、しょうがないから空を見た、あまり綺麗とは思わない曇り空だったがなるほど思っていたより低いところに空はあったし、そういえば見覚えもありました。なんとなく携帯電話で写真をとってみたらどこかで売っている安いポストカードみたいになったので消去してやった

end


自由詩 空のはなし Copyright この子 2009-02-19 03:36:26
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