断章
るか




   生きていることの意味を問いなが
   ら、生きそして死んでゆく。それ
   が解らないまま、ある朝のベッド
   のなかで、遠くで船出する警笛を
   きく夜に。


   失われているという幻想の詐術と、
   その向こうに存在する確かに失わ
   れてあるもの。隔たりの意味を時
   にひとは愛と呼びさえするだろう。
   つねにすでに失われたものとして
   のみ存在する或るものと、思慕。


   どんな悲劇的な関係の奴隷にもな
   ってはいけない。失われた意味へ
   の隔たりは最後の根拠にしてわた
   したちの目的である。そこに存す
   る自由の意義を守り通す戦い。わ
   たしたちには二重の戦いが課され
   ている。


   詩の場所はわたしたちの最後の砦
   にして目的の国である。


自由詩 断章 Copyright るか 2009-02-18 15:51:36
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