とおりがかりのフーガ
Giton

どうしてもダイヤモンドを買えと言うから、
女って、そういうもんなのか、
しぶしぶディスカウントショップに付いて行って、
俺たちには分不相応なんだよ、そんなものは、
きみが選んだのは、光らないダイヤ、
へえ、そうゆうのも、あるんだ、
きみをちょっと見直したような気がして、
でなけりゃ愛人兼漫才コンビだべ、
いい気になっていたら、
うん、俺たちに、お似合いかもな、
歩いてると5秒ごとに、そのダイヤはめた指を俺の目の前に突き出して、
んー、わかったわかった!
俺が感想を言わないと、手をのけない、
きゅうせんさんびゃくななじゅうはち回目に素敵だよ、
いったい、これって、なにごっこなの?って訊こうとしたけど、
たのむから、そのメオト人形とか、メオト茶碗とか、メオト釜飯とか買うのはやめてくれ、
きみはすこぶる真剣な様子なので、
ごめんごめん、きみのむすっとした後ろ姿も綺麗だね、
たまたま市役所の前を通りかかったので、社会見学がてら、届を出してしまった。


自由詩 とおりがかりのフーガ Copyright Giton 2009-02-13 05:39:31
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