朝の壺
アングラ少女

郊外の市の人だかり
色めく羽根飾りの裳をひるがえし
震揺する血液の鮮やかに青い光のなかで
賑う民族舞踊の列
褐色にかすむ歳月の画像などあろうか
薫る羽毛を掬う水脈に追われて
朝陽をあびるはだかの獅子の内面からも
わすれた固陋の腐葉土が
瞑目のうちに場末の石塀に括りつけられる
弁護する破廉恥な姉は逃れてゆく
とりのこされた妹は毀れた生身のまま
どこへもゆかない音楽隊にいれよう
着飾って踊らされるには若すぎるから
かたほうの耳が生まれそこなう
父のための壺
鮮血のとびかう群衆のなかに衣裳を解く
体型に恥じらいみずから崩れおちても
怖れなく邁進する匂わない骨髄は
踊子のくしゃみするとき
いま一つの静寂とつりあう


自由詩 朝の壺 Copyright アングラ少女 2009-02-12 23:42:52
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