さよなら春の日
アヅサ



君のセーラー服のスカートの
いわばちいさな海のようなプリーツと
さっきからずっと飛び回っている
黒いちょうちょの羽についている窓に
使い終わった水彩絵の具のパレット
みたいな夕暮れの色が映っている



君は放物線を流れる星に夢中で
懐かしい夜明けの風景を
思い出そうと必死だ
そんなの夢かもしれないのに
プリズムのような虹色の瞳を
ぱちぱちさせて 寂しそうで …



夜明けの残るプールサイドで
僕の透明な爪に蛍光塗料で色をぬる
先に進むにはもろすぎて でも
僕たち明日にはここを離れるんだ
手の中のものぜんぶ海に還したいけど
まだ君が笑えるんなら
もう少しここにいてもいい気がする




自由詩 さよなら春の日 Copyright アヅサ 2009-02-11 21:44:42
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