『わたしへ』
あおい満月

 遠くながい光よりも 
 今、あなたの目の前にある
 一秒の光を
 直視しなければ
 あなたの壁は壊れない
 あなたが逃げれば逃げるほど
 壁の数は増えていく
 わかってはいる、とあなたは云う
 薬や携帯は
 あなたが腰を下ろすためだけの
 休憩室
 けしてあなたを 
 守りはしない
 あなたがもしも
 変わりたいのならば
 目を逸らすことを止めればいい
 最初は言葉などいらない
 しっかり目を上げて
 首を振れば
 それだけで
 よろこぶ人がいるということ
 片時でもいい
 思い出して
 あなたがなにかを 表現したい
 のであれば
 壁など作ってはならない
 壁を作ることが自分のスタイルなど
 錯覚してはならない
 世界はもうすぐそこまで来ている
 途を選んでいる時間はない
 戻れ 風のなかへ
 戻れ 底辺へ
 そこには必ずなにかがある
 遠くながい光よりも
 今、目の前にある一秒の光を
 直視すること
 それがあなたの
 未来を変える
 誰よりも 
 なによりも
 わたしのことを
 今、目の前にいる
 わたしへ


自由詩 『わたしへ』 Copyright あおい満月 2009-02-11 13:05:04
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