コンビニ飯
亜樹

深夜のコンビニで10年前の友情が
丁寧に陳列されているのを発見して
戯れに一つ買ってみる。
にこやかに笑う店員が
「あっためますか?」と聞いてきて
そのまま電子レンジにIN
くるくる30秒甲高い電子音を待つ。
そうして差し出されるのは
ほかほかと湯気の立つ友人たち。

――やあ久しぶり
――お元気だった?
――変わらないわね
――最近どう?

店員と同じくにこやかに笑う彼らに
ぎこちなく笑い返す。
ああなんと素晴らしい!
我が竹馬の友たちよ!!

(でも残念なことに一人として名前が思い出せないのです)

しかもおそろしいことに
暖めるとひどくまずいものもある。
つけあわせで隅っこに入っていた
あの日おいてきた愛情や
気まずい距離感
残った怨み辛み
ああ!そんなものを暖めなおして!
一体誰が得するというのか!!


だから騙されてはいけない。
にこやかに笑う店員がもし
親切面して「あっためますか?」と聞いてきても
冷めたものは冷めきったまま食べるのがいい。
冷めきったまま食べるより、しようがない。


自由詩 コンビニ飯 Copyright 亜樹 2009-02-06 21:19:54
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