残季(溢光)
木立 悟
ゆっくりと明るい雲がせり上がり
それ以外の雲は皆うつぶせになる
降り止んだ雨は灰色
降り止まぬ雨は金色
とどまらぬ色とどまらず
とどまらぬ音ふりそそぐ
小さいものが
大きいものを小さくしてゆく
見えなくなるほど
しんとするほど
小さく
ざくざくと鉄の柵を踏み
夜の熱さは冷たさになる
風に揺れずに柵に添う花
奥にわたしの骨うつす花
濡れた肉厚の葉のような
光しみこむ空の色
明るい雲と雲の間に
終わった祭が響いて消えない
新たな祭が届いても消えない
自由詩
残季(溢光)
Copyright
木立 悟
2004-08-16 20:34:14