雪ちゃん
小川 葉

 
朝おきると
窓の外
雪がふっている

ふとわたしは
ゆきちゃんのことを思い出す
歯を磨いてるときも
窓の外を見て

ゆきちゃんが
ふっている
と呟く

ゆきちゃんってだれなの
妻がきく
ゆきちゃんはね
言いかけて
もうわからなくなっている

ちゃんづけで呼ぶから
それは
人のような気がして

わたしはただ
雪がふっている
とだけ
呟けばよかったのだ

ふとわたしはまた無意識に
ゆきちゃんが
ふっている
と呟く

あらった顔を
タオルで拭きながら

白い景色の中にいた
まだ見たことのないその人を
思い出している
 


自由詩 雪ちゃん Copyright 小川 葉 2009-02-01 00:41:32
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