コンタクトとあるく
因子

コンタクトとあるく

壁、街灯、空、あと、電柱

顔のないものにさえ
こんなにも融和を拒まれていることなど
とくに知る必要はなかった
だけど毎日確かめないと歩けない

これがないと私は
だいたいのまっすぐがわからないし
どうしてだか耳もよくきこえない
うまく人間になることすらできないのだから
目を伏せて
足下のタイルを数えながら進む以外にしかたがない

裸眼で裸足の私は、だから
いつかの草原を前にして
一歩も踏み出せずにただ呆けている


自由詩 コンタクトとあるく Copyright 因子 2009-01-31 12:32:54
notebook Home 戻る  過去 未来