原稿用紙二枚分の悲しみ

一日が24時間と申しましても、
八時から八時までパソコンが相手ですから代わり映えの無き毎日で、
これ一人で家でパソコンやってても変わんねぇんじゃねぇかって、
たまに思います。

知らない事ばかりではありますが、もうすぐ三つ目の仕事を終えます。
まだまだわからない事だらけですが、
思えば2ヶ月で随分と様々な理論や知識を身につけたものです。
この世界に足を踏み入れなければ知らなかった事ばかりでありましょう。
家に帰れば散らかった部屋、ガス代を引き落としにしてない月の払い分
いつも此処で気づき、今日こそシャワー出なくなるんじゃないか毎日心配です。
たどり着いた部屋でもうテレビも見ずゲームもしない、
ただ自分の怠惰な、生活力のなさを実感し頭垂れて、
近くの弁当屋の弁当を空け、味わうこともせず口に詰め込む。
そうして食べ終われば10時。次の日5時半に起きることを考えれば
夜更かしが人一倍カラダにたたる自分のこと、
11時には布団まくって床につかなければと思い、一時間が一日の自由時間。
これも残業が九時になればさよならかと尚更愛おしく
インターネットのつながってないノートパソコンに今日一日思った事を、
拙ない文章力で書き殴るのです。

こういった何もかもは自分がまた前進を始めれば打破できるものですが、
苦しいツラいとのたまっておきながらそんな生活を望んでやってる節があるのは、
この過剰なまでに演出されたみすぼらしさと、
そこから生まれる劣等感や孤独感、
漠然とした不安感やナニクソと思うルサンチマン的な屈折した向上心の中でしか、
僕はうまい具合に「書く」という作業に対して真摯な態度を取る事ができないからです。
それも酒の力を借りなければなかなか手が進みません。
その酒さえ諸刃の剣となり愚にもつかない文章になったりしてしまうのですが、
そういったものを人前に出してしまった以上
「酔っていたから」と言い訳をしたりするのは
本来やってはいけない行為なのです。
気づかれないうちに削除したい所ですがいったん目に止められた以上、
本当であれば黙ってぐっと堪えるか、
破綻している論理のまま敢えて反論してみるのが
言葉に誠実な人のあるべき姿なのです。
そもそも「酔っていた」で片付けられるのであれば
どんな二枚舌を使って都合の悪い方だけ
後日酒のせいにするという人でなしをば、する事が出来るでしょうか。
無論、もし、プロであれば
いつでも書くと言う作業と自分との距離を
正確に測れるようでなくてはなりません。
いつも気づかれないように孤独の拳銃を持ち歩き、
ドコから誰が襲ってきても
相手の胸を打ち砕けるようなセリフを用意しなければならないのです。
たとい宝くじが当たったり、
片思いのあの人から突然メールが来た瞬間でも、
そこに悲しさを見出そうとする努力こそが作家性であると、
そんな事を考えながらいつものように携帯に打ち込み打ち込み家のドアあけると、
帰り際セブンイレブンで買ったスープカレーが
いつの間にか傾いていて汁が半分以上こぼれている事に気付きました。
これが今日一番の悲しみです。





散文(批評随筆小説等) 原稿用紙二枚分の悲しみ Copyright  2009-01-31 01:03:09
notebook Home 戻る  過去 未来