イクラの軍艦巻
小川 葉

 
赤い卵が
まっくろい側面の
棺桶にならんでいて
うす暗い船底には
ごはんがあるものだから
たまらない

軍艦のデッキから
声が聞こえる
声に出しては
ならないその声を
聞いている
まだ生きたかったのだと

ああ命の
なんておいしいこと
だからぼくらは
その味をわすれない
 



自由詩 イクラの軍艦巻 Copyright 小川 葉 2009-01-31 00:54:45
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