私に手を掛ける三分前
ゆるこ

 
 
 
私に手を掛ける三分前
あなたの世界は破裂したのだろうか
どろどろとした緑を排出しながら
あなたの世界は破裂したのだろうか
 
 
私とくちづけを交わす三分前
あなたの世界は生まれたのだろうか
有機ガスを含みながら
ぶくぶくと、あぶくを吐いて
 
 
私と出会う三分前
あなたの世界はちゃんとした未知だったのだろうか
私が逆立ちして地球を一周しても理解できない
とんでもない小宇宙を抱えていたのだろうか
 
 
私を知る三分前
あなたはホワイトホールの先から
青い青いなにかを見つめて
呼吸していたのだろうか
 
 
 

 
 
 
私の首筋に手をかけるあなたのその微かな震えに
私は堪らなく深い愛情を感じた
刃物の切っ先の具現化
あなたは震えて、いた
 
 
私が生まれた日の朝
わたしの名前をそれはそれは大きな声で呼んでくれていたのを
あなたははたして覚えているのだろうか
 
蝕まれるキャンバスの中心に
私がこんこんと眠っていたことを
 
狂った言葉の端々に
確かに私が居た事を
 
 
揺れる、洗礼された夢の中
遠い電子が私の唇に生まれた血液を舐める
ぴりりと視界は霞み、
あなたは蝶番を隠し持つ
 
 

 
 
私に手を掛ける三秒前
あなたの瞳は満月のようで、
私は一瞬だけ狼になり
あなたの首を噛みちぎった
 
 
私に手を掛けた三秒後
あなたの呼吸は地面に吸われ
マグマと結合するように
空を一掻き、仰いで、
 
 
 


自由詩 私に手を掛ける三分前 Copyright ゆるこ 2009-01-30 09:58:34
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