いつも同じ風景

いつも同じ席順

いつも違う組曲。


バスループ・ストップ


夕方 4:34

おじいさんがターミナル前で乗る。

夕方 4:42

初老の男性が駅前で乗る。

夕方 4:48

高校生とおばあさんが保育所前で乗る。

夕方 4:58

ママと子供がアーチ橋前で乗る。


プレイヤーの中で流れる音楽は
いつもどおり単調なロック


夕方 5:17

おばあさんと初老の男性がドブ川前で降りる。

夕方 5:24

高校生がガソリンスタンド前で降りる。

夕方 5:36

ママと子供が幼稚園前で降りる。


いつもとちょっと違う
心地よいクラシックロック


夕方 5:56

おじいさんが郵便局前で降りる。


いつも ちょっと違う
各々 それぞれの アイデンティティ ロック


降りたおじいさんが何処に行くかなんて 知らない
降りたおじいさんが明日どうなるかなんて 解らない


夕方 6:09

私は隣の街の駅前で降りる。


いつも 同じに見えて そうじゃない
ひとりひとりの フィロソフィー ロック


降りた私が何処に行くかは 解ってるはず
降りた私が明日どうなるかなんて 知らない


いつも 同じに見えている でも いつも違う
私だけの マージナルマン ロック