デューイ
乱太郎


にゃーン

零下15度の夜中に捨てられた猫

図書館員に拾われ
図書館で育てられた一匹の雄猫

にゃーン

鳴いているだけなのに

苛立ってばかりいた男の人が笑った
自閉症の女の子が言葉を交わす
母親の顔も見なかった娘が仲直りしてきた

小さな町の人気者になったデューイ

噂が世界中に広まって
失業者でいっぱいだったのに
町をよみがえらせた
町中が笑顔に溢れていった

死にそうだったけど懸命に生きようとした
諦めないで生きようとした

みんなで思い出したら
町中の人を前向きに
逆境だったと思っていたのが間違いだったと

猫になった天使
誰かにそう呼ばれて

にゃーン


でも

きっとデューイは思っている

僕は何もしていない
助けてもらっただけ

自分に素直になれば気持ちも変わる
気持ちも変われば勇気も生まれる
変わりたい
変わらなければ
どこかにみんな持っているはず
そこを素直になれれば
僕ではなく
自分から変わっていくものなんだにゃーン


  *アメリカで実在したデューイという猫の話



自由詩 デューイ Copyright 乱太郎 2009-01-25 17:49:51
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