カフェ7Fのソネット
フミタケ

北欧家具とJBLのモニタースピーカー
ホーンジャックを脈々と流れるラウンジ・センチ・メランコリー
250円のコーヒーとポーターバッグとライブの話とカフェの7Fとで
若くも渋谷なわけでちょっと決めたつもりでヨシとする

テーブル席は賑わってるのにバーカウンターには人気がない
昼間は掲げられたボトルがきっと夜を待ってる
明るいうちからビールは飲まないんだここじゃ
それはきっとイケてないからカフェインでヨシとする

女の子たちはねぇ2人ともじっと見つめているよ
男の子たちが3人話すのをじっと見つめているよ
一番しゃべらない男が天使なら最高なのにね

窓から見える高層マンションのベランダ群
誰も毛布を干したりはしない 日の光を浴びる人影もない
ベネチアみたいにはいかないね 空中のゴンドラは幻さ
ほら、あのベランダの鉄柵は冷たい何かを告げようとしてる

イメージどうリに作られた街でイメージどうリに皆が顔を出したり
笑顔で君を必要としたりしないよ 心を無条件に開いたりはしないよ
7Fの窓から外を眺めて思ったんだスパイダーマンになりたいって
通気口ばかりのあの白い壁をとぼけた顔して歩いてみたいよ

女の子たちはねぇ2人ともじっと見つめているよ
彼はそんなことに気付かずに1人だけ静かになって
一番しゃべらない男が天使ならラッキーなのにね


自由詩 カフェ7Fのソネット Copyright フミタケ 2009-01-25 12:37:34
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