生乾き
mizu K

私の祖父はうまく焼けなかったので
2度焼かれるというレアな体験をして
ウェルダンされた

生乾く人

小林宏史という写真家の本に『死と葬』というものがあ
る。インド、カルカッタ。寺院の前で女が花を持ち踊っ
ている。女が行き着いた先は青空が見える火葬場で、そ
こには親族の遺体がある。やがてそれは荼毘に付された。
その火葬場で灰になったものはいくつかまとめられ人夫
たちによって河に流される。焼け跡にのこった骨や遺物
はカラスや野犬たちの腹に収まる。

私たちは常に生乾いている
水がなければ干涸びてしまう
水が満ちればくさってしまう

私たちは死者が焼ける光景を見る機会はほんとんどない
においをかぐこともない
爆ぜる音を聞くこともない
煙に舌をぴりぴりさせることもない
皮膚は閉じてしまって息ぐるしい

生乾き
今日は湿潤すぎる





自由詩 生乾き Copyright mizu K 2009-01-25 04:49:55
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