闇を愛す
kauzak

風呂あがりの
ほてった身体を
常夜灯だけがともる
洋室で冷ます

妻も娘も寝静まった
夜更けに
フローリングの床に
じかに座る

柔らかな闇に身を浸すと
穏やかな気持ちになる

そんな感覚を
戸惑いながら受け入れる

薄い闇の中に
ぼんやりと広がる世界
すべては曖昧で
僕も曖昧なままでいられる

肩肘張らなくてもいい

日々の生活の中では
何もかもが過剰に照らしだされて
見えなくてもいいものまで
見えてしまうから

僕には抱えきれないものが
多すぎて少し
疲れているから

せめてこのひとときだけでも
柔らかで薄い闇を愛したい
曖昧な世界に包まれたい


自由詩 闇を愛す Copyright kauzak 2009-01-23 22:01:38
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