ささくれがしおれるまで
石川和広

夜になったらねむくなるのはすてきだ
きもちいいだるい感じなんだ

もしイライラして空気がビリビリしているなら
そのささくれがしおれるのを待つことだ

ただそのささくれが治まらないなら
それはかなり疲れてるってことかな
そんなときはどうすればいいんだろ

怒りの行く先は簡単であったりして
簡単すぎて
つまらねえから
イライラするのかな

答えが見えるよりは

何かを誰かを裁くよりは

新しい問いかけの方に行く方がいいのかな

向こうの方へ
どんどん伸びていって追い切れなくなると
身体はあきらめて自足する

次の日の問いかけに向うために
布団に包まるんだ

ねむれねえ

なんかうまくいってねえんだ

ねむれねえ時間をつくったり
ねむらせない何かや
自分がいるんだ

それは一日では
解決しねえか

一生かかってもわからないかも

とにかく今日だけの
それだけの仕事しか俺らはできねえから
無限に
できることが
伸びつづけたら
ここがどこだか
わからなくなる

だから限りがあるってのも
すげえことだよなあ

疲れたら息を抜くしかねえなあ

それくらいおれらの身体は
うまい具合にひ弱に
できているの
かもなあ

だから布団はなるべく干して
風呂に入って
冬を生き延びるしかないのかなあ

そんなとき
身を投げる敷布
身にかかる掛け布の一枚もない
誰だろう
そんな人のことが
シピシピと気がかりに
なってきた


自由詩 ささくれがしおれるまで Copyright 石川和広 2009-01-21 09:52:20縦
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