ケータイ
モリマサ公

ケータイ電話をぎゅっと握って

世界中のお金の流れのことについて考えてうつむいてばかりいる

自分が毛穴から出した空気について考えたりしないのはアホだからなのか

鳥がどうろをよこぎってフロントガラスにぶつかったりしないことで

すごく救われるのはなぜか

飛ぶということについて考えている

ビルの隙間でぶあついガラス窓に映る誰かを助けたい

自分で家賃を支払っている部屋でセックスをしていると隣人が壁を叩き

閑静な住宅街ではいつも殺人事件がおきてその庭は荒れている

僕たちはあのときすでに死んじゃってたのかなって君がいって

それを知ったお父さんもお母さんも昔をおもいだして悲しい

つまり人間性が欠けている子供たちが公園で群れていることを

信じないようにするためにスーパーマーケットにレジ係が立っている

テーブルを囲むことに意味を与えよう

赤ちゃんたちはまだ時間についての観念があいまいで

全ての過去は昨日である

超やばくてまじありえないことを現実と呼ぶ時

あたしたちはみじめではない

輪郭を意識しないで話しはじめるとき

あたしたちはみじめではない


 



自由詩 ケータイ Copyright モリマサ公 2009-01-08 20:09:00
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