悲しみに寄せて
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悲しみの理由に向き合うことを
とっくに諦めたわたしならきっと
幸せに生きることができるだろう
じょうずに思い込んで

生きているだけでもう 苦しいと言った
あの人のかなしさを
まだ理解できなかったので
わたしはなんにも、ならなかったんだね
かかわりのない場所で
だけど
それでもやっぱり
あほみたいな顔して笑っていて、
もしそうなら嬉しいよ、たぶん、ちがうんだろうけど、まだ


ときどき
理由を知らない涙をせっせと追い出して
悲しむ作業が必要な夜がある
(わたしはそれを こわい と思う)
そんな夜は
ああ、思い出す
わけもわからずに生まれて来た日のことを


知らない間に
こんなにも大人になってしまった
幸せの価値は
毎日の意味は
作り出せばいいけど

悲しいよ
わけもわからずに生まれて
わからないまま、まだ生きてることが




自由詩 悲しみに寄せて Copyright ________ 2009-01-08 01:34:20
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