白飯
ゆうさく

ビニイルの中から
米をとる
まだ少し
土のついた米に
虫が寄り添う
カップにゆっくりとり
一杯ずつをかみしめ
炊飯器がそれを食らう
そうして
ぼくの部屋は青くなる
 
静かにとぐ
白い米ぬかが
涙をさそい
また、ぼくは
やさしくなる
 
この米をつくった祖父は
死んだけど
米は生きてる、っていう
矛盾が美しいんだ
しいんだ
しんだ
 
米をとぐ
みずと、うず
からまって
くるりと重なって、けど
雪肌のようだった、
あなたのしわを
神は面影さえも
残してくれない
 
といだあと
水を入れたら
まだ白は
水と混ざって
いたかったんだ
痛かったんだ
 
炊飯のボタンを押して
小雨もよう
いつかの梅雨空はきっと
祖父が持っていった
 
湯気が立ち
想い出をかすませる
雨があがり
虹は生まれたけど
あすこのそらへは
わたれない
 
できたての米は
少しくぼみもよう。
付着している、
輝いたつやが
電灯のまわりに飛び散り
螢になったら、な
 
静かに食べる
明るい米つやが
涙をさそい
また、ぼくは
やさしくなる


自由詩 白飯 Copyright ゆうさく 2009-01-07 04:36:36
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