少女惑星
アヅサ



たくさんの空白の間にある
酸素の泡みたいな
点々が廃れていく
そのよこで
使いすてられる女の子が
水星のような瞳を震わせて
しん、と涙をながす
宇宙のまんなかで
あの娘の好きな子宮に
あたたかい息を吹きかけて
まだ男の子を知らずに


女の子はさわると冷たかった
のびすぎた前髪の
夜の匂いに打ちのめされる
はだかのままの太ももには
いずれ訪れる
完成の気配がまだない


小指のぶんだけ呼吸をして
人工的でない唇が
愛をつむぐ前に墜落する
少女という引力で
雪のような男の子がひとり
生まれる




自由詩 少女惑星 Copyright アヅサ 2008-12-31 22:12:08
notebook Home 戻る