残照
がらんどう


五月の終わり、六月のはじまり、雨、雨上がり、雨上がりの、街。
咽る光、光、に、蜂鳥、蜂鳥がゆらぐ、ゆらぐ、かすかな影、その残響、翳る、光、黒揚羽。
揚羽蝶、焼く、焼ける、焦げる、黒く、霞む、目、の、瞳孔、を、黒く、焼く、砕けた光。
小刻みに震え、る、左瞼、小刻みに震え、光に霞む。
厚く濡れる、上睫毛、濡れて、眼球に、貼り付く、覆う、幕。
揚羽の夏、飛蚊の夏、夏、光に咽る、光、に消える、霞む、揚羽。

残照、残る蚊、目の中に、残る蚊、残る黒揚羽、夏の残照、白く光る。
黒蟻は貯めつつ、反芻する、冬を待ち、避けられぬ冬を待ち、忘れぬほどに、反芻する。



自由詩 残照 Copyright がらんどう 2004-08-11 23:27:38
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