R305
あおば

               081226




1939年製の並四ラジオをレストアし
ケータイ化も出来たので
朗読イベントの小道具に試用した
お客様は好意的で
耳を澄まして聴いて頂いた
しかし、どう考えても
パワー不足は否めない
安物の代名詞のような
並四受信機
そのパワーは
安物の小型出力管12Aが生み出すが
その安物の12A、今でもオーディオマニアに愛用されるのか
状態の良い球は
とても高価でやりきれない
現在用いているのは、
かなり使い込まれた中古品で
現在はなんとかご機嫌で作動しているが
いつ機嫌を悪くして
ヒーターが切れたりして
沈黙するか分からない
予備の球もそれ以下の中古品

イベントの時間は短いが
それはいわば氷山の一角で
冷たい海の空の下
海中に沈んだ体積が
漂う氷の山の頂を支えてる
何時間も何十時間も効果を確かめて
聞き続け
これでよいかと思ったら
真空管は疲れ果て
イベントには行きたくないと
ストライキを起こしたりはしないかと
ハラハラしながら音を聞く

練習用の真空管も欲しいと思案する
安くて手に入る球で
12Aと同じ特性の真空管は無いだろうか
調べてみたが
なかなか同じというのはないようだ
差し替えても同じ動作するのは
同時代の真空管に限るようだ
古強者の代用は古強者の代用に限る
と言われたような気がしてる
思い切って新参者でテストする
古くさい真空管を知らない大型のトランジスターを探しだし、代わりに使うのは可能のようだ
三極管の12Aと比べても約2倍の電圧利用率があり、パワーも2倍となる
本来、
並4受信機には安価な三極管が使われる
だから並四というのだが
高価な五極真空管、ペントードと呼ばれ
高級を冠した次期もあったが
すぐに安くなり
並四受信機にも使われ出して
並四受信機には五極管と三極管
それらの高圧直流電力の面倒を見る二極管12Fが同居する
ちなみに、12Fは三極管の12Aから派生した二極整流管であり
12Fは12Aの眷属のようなもので
粗末に扱われたりしたが
今では貴重品の仲間入りを果たしてる

並四受信機のパワー管にも
五極型真空管が普及して
当たり前になった頃
第2次世界大戦は終結した
その後の並四受信機は
再生受信機特有の
発振障害が
軍用無線への障害を咎められ
GHQの勧告もあり
製造することも少なくなって
1950年頃には作られなくなった

並四に五極管
五極管とトランジスターはほぼ同特性
それならば
並四にトランジスタを使おう
トランジスタよりもIC
それもデジタルICが効率的と
効率80%を越える
オーディオ用D級アンプICを使うことにした
最近のICは小型化細密化して体積が小さくなりケータイ機器に多用され
知らぬまに大活躍しているが
12Aの代役にするには
工夫も必要で
ICに必要な
安定な直流5ボルトの電源の供給をどうするか
思案しているところですが
R305の特性を見ると
利用できそうなのですが
箱形なので
果たして
円筒形の真空管の空いた位置に
素直に収まるかどうか
メーカーの設計想定外の要求に
R305も驚いているかも知れません






参考
(株)ユタカ電機製作所データーシート
http://www.yutakadenki.jp/member/admin/document_upload/r3.pdf




自由詩 R305 Copyright あおば 2008-12-26 13:08:16
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