この冬 最初の雪
高杉芹香

あのことばも

あの優しさも

嘘だったんだと

思いたかった





そう思った方が

きっと

きみを想わないでいられるから






夜になって急激に冷え込む街は

雨に濡れていた






愛ゆえに

泣きながら



ただ歩くには

明るすぎる街だった







きみの優しさが恋しい

きみのあの声が愛しい







もう

大丈夫






ううん





本当は

初めから大丈夫だった






きみは

あたし無しでも

きっと

大丈夫だった









きみは優しくて

儚くて

凄く脆くて

それを

抱きしめて

生きてる



強いひと








だからね






きっと

愛されるよ








そこには

きっと

光 溢れてるよ










だから






大丈夫









愛しさは

裏腹









決して言うまいと決めていたことばばかりで

きみを傷つける







冷たい雨が




この冬

最初の雪に変わっていた


自由詩 この冬 最初の雪 Copyright 高杉芹香 2008-12-23 03:22:07
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