それにしてもですよ、見るからにあやしげな女がよたよたと教会の階段を上っているというのにどうして誰も止めやがらないんでしょうか。その時たまたまそこに誰も居なかったというわけなんでしょうか。そもそも受付とかどうなってるんでしょうか。教会での式ってそんなにオープンな環境で執り行われるんでしょうか？のっけからきなくさい臭いがぷんぷん漂っていたイノセント・ラブ最終回、やっぱりやってくれちゃいました。

映像を見る限り殉也が走り出したのは聖花がバルコニーの手すりを乗り越えてからなんですけどもかなりの距離があったような気がします。８マンか００９でもない限りあの距離から落下する人間を受け止め、なおかつ自分が後頭部を強打するような状態で倒れるのは到底無理な気がします。仰向けに倒れてるってことは相当余裕で落下地点に到着していたものと推測されます。そこは殉也だけに楽に行けるんでしょうか？それにしてもどういう体制で受け止めればあんなきれいに抱きあった形で地面に倒れられるのでしょう。メキシコのレスラーでもない限りあんなきれいな体勢はあり得ない気がします。ドラマだからって言っちまえばそれまでなんでしょうけど。追い打ちをかけるように佳音のさほど慌ててもいない「殉也さん」の連呼。どんな地獄絵図だ。

さて三日のこん睡の後に意識を取り戻した殉也ですが、脳に障害が残ります。面倒くさいので端折りますと、殉也がそれまでの聖花（聖花よりは動ける）になり、佳音がそれまでの殉也の役どころをやるわけです。それはおそらく佳音が殉也になりかわることで二人の愛がより昇華されたものになる…というような意図がそこにはあったんでしょうけどもぶっちゃけ退屈過ぎました。イノセントラブ内でイノセントラブのパクりをやってるような、そんな感じにしか見えませんでした。案の定殉也はなんとか彼の記憶を取り戻さんと奮闘する佳音そっちのけで聖花を思い出し、佳音は殉也の為に身を引く決心をします。昴に頼んで殉也の家に聖花を呼び、家を出てゆく佳音。涙をこらえて殉也に笑って見せた佳音の表情はすごく良かったですね。まあ二度見て面白いというほどのシチュエーションじゃないですけどね。時を巻き戻したかのような二人の再会。その時なぜか床に落ちる楽譜。それは殉也が佳音の為に書いた曲。弾いてくれ、という感じにそれをピアノの譜面台に置き、殉也に微笑む聖花。たいがいの人がここで（ああ、記憶が戻るんだね）と思ったことでしょう。僕も思いました。さてなぜか楽譜はちゃんと読める殉也、たどたどしくも弾き始めます。なんということでしょう、わざとやってんのかというくらい極端に感覚を取り戻し始める殉也。
そのころ佳音は教会に立ち寄り力の限り祈りを捧げます。おおかた二人が幸せになれますように、みたいなこと祈ってるんでしょうよ。
再び殉也。愛する女の為に書いた曲が次々と彼の記憶を呼び覚まします。覚醒という名のフィルム使いまわし。記憶はやがて現在に。佳音の泣き笑いで彼の手が止まります。「殉也？」と事故の後初めて口を開く聖花。弾かれたように飛び出し佳音の後を追う殉也。それにしてもなんで迷いもなく教会に向かって走れるのでしょうか。もうなんか奇跡まみれ。奇跡で疲れたのは初めての経験でした。

いくらなんでも体力的にその勢いは無理過ぎるだろうという勢いで教会に辿り着く殉也。礼拝堂に辿り着くもすでにそこに佳音の姿は無く。（ほお、いったいどうなるのかな？）とか思って見てたらば礼拝堂の外のベンチに居る佳音。ずっとそこに居たの？気付けよお前ら。そして殉也は佳音の名を呼び、二人は抱き合います。抱き合うたびに背中にまわす手を強調する演出が相当にウザいです。そして二人はキスをします。ハイハイよかったよかった。佳音のしょうもないモノローグのことなんかもう思い出せません。

普段ドラマなどほとんど見ない俺がなぜか一話からずっと見てしまったのですが、近年これほどがっかりな最終回も無かったような気がします。こんなんだったら「めいわく荘の人々」の最終回の方がなんぼかマシです。さまざまな要素を盛り込んで、それがすべて要素のままで終わってしまったこのドラマ、堀北真希が個性的なキャラなだけにこのグダグダは残念としか言いようがありません。ゆずだって悪くなかった。演出のしようによってはもっと光ったと思います。メインキャスト中二人が事故で障害とか舐めてるんでしょうか？別に俺もね、イチャモンつけたくてこんな日記書いてるわけじゃないんですよ。そりゃ辻仁成のインタビューぐらい突っ込みどころは多いドラマだったけれど、久しぶりに毎週続きを追っていたドラマだっただけに、最終回はああ見てよかったと思えるようなものであった欲しかった、本当に残念だっていうそういう気持ちなんですよ今。なんだかなぁ。エステーのCMの方がずっとクオリティ高かったじゃないですか、なんだよもう。



もう来週は無いのか、さみしいなぁ。