夜の生きもの
草野春心



  錐のように
  喚く、
  夜の生きもの。



  空気の上に
  声の先を、
  突き立てる。



  黒いアパートが
  整列して、
  街。



  そこかしこに
  茂る、
  影。



  存在、
  貪って
  宙に向け
  不在を育む
  夜の
  ……生きもの……



  (キュン、
  (キュン、キュン!



なぜ、
感情を思い出せない?
孤独な粘液だけが
体内に
渦を巻く







自由詩 夜の生きもの Copyright 草野春心 2008-12-22 00:59:18
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