冬の香
草野春心




  冬の肌
  そのうえに
  人生という
  響きを
  かるがるしく
  載せる



  石油の
  まるい匂いが
  通学路を
  行進している



  昨日という
  果実から
  (ぽたり。)
  (ぽたり。)
  (ぽたり。)
  白い影が
  今日に
  したたり落ちる



  僕は
  喋らない
  静かに
  ただ静かに
  嗅ぐ




自由詩 冬の香 Copyright 草野春心 2008-12-18 23:36:14
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