夕焼けの魔道士
秋也

あんたが望むほど
世界はまだまだ熟しちゃいないが
ここで茶すすり続けているぐらい
暇でもなくなったさ
いつ動くのか
いつ動くのか
雲もみたいに
白くて巨大なあんたは
内に激しい雷を秘めているからね
龍をも討つ落雷
深く赤く熟し過ぎた
夕焼けになる前に
動いた方がいい
その方がきっといい
やがて実が落ち
終わらない夜と闇が全てを襲い続ける
明けない朝
飽けないあんた
美しい夕焼け時が
魔道士を動きださせるには
ちょうどいい
茶の色も薄くなった
あんたも森を去り
力を使うべきだ
世界のうねりと戯れ
力で力場を引き千切れ
さあ最後の甘美を飲みほして
いざ開けて止まない
紅の世界へ 


自由詩 夕焼けの魔道士 Copyright 秋也 2008-12-18 17:37:42
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