幸せの入口 
服部 剛

先輩の女性職員が 
傘も差さずに 
雨の中、楽しげな小走りで 
施設の入口に入っていった 

来春寿退社する先輩は 
そうして幸せの入口へ 
姿を消してゆくだろう 

僕がまだ2年目の最初の部署で 
デクノボウだった頃 
まったくソリの合わない 
主任だった先輩の 
昔より少し丸みを帯びた後ろ姿に 

( お幸せに・・・ ) 

こころの中で、呟いた。 

桜の花も舞い散り 
先輩が別れを告げる 
来年の春 

すぐにいじけていたデクノボウは
あの頃よりも
胸を張って 
入社10年の、節目を迎える。 








自由詩 幸せの入口  Copyright 服部 剛 2008-12-18 17:07:34
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