この喉元をさらって
百瀬朝子
燦然と輝く希望の光
さえ、
まぶしすぎては人の心に影を生む
どうか、
この願い
朽ちるより早く
この願い
遂げることが叶うなら
あたしは
あたしの魂を
死神に差し出すことを躊躇わない
死を宣告する呪いの鎌
この喉元をかすめていく
また叶わない
天と地をわけた創世の
物語は現実に
何をもたらすというのだろう
人々は
見えないものを信じすぎる
それは愚か
誰もが求める
この世に生れ落ちた意味
自分自身では見出せない
のに、かまわずに
欲深きゆえの暴走
足がもつれて転んだとて
責めるものは一人もいない
欠けた月が膨らんで
餅をつく夜
くりかえし振り下ろされる餅つく杵が
一瞬にして
鎌に摩り替わり
この喉元をさらって
さらってくれればいい
のに、
まだ叶わない
星の輝きがまぶしすぎて
あたしの心に影を生んだ