喪失(歌詞)
結城 森士

眩しすぎた広場では
落ちぶれた浮浪者の
座っているベンチの
その裏で

捨てられた仔犬が
母親を探して
かすれたか細い声で
鳴いている

お腹、空いたのかって
落ちぶれた浮浪者が
捨てられた仔犬に
語りかけるよ

もっと
大きな声で鳴け
もっと
大きな声で鳴け
もっと
大きな声で鳴いて
くれよ

変色した団地では
影のない子供が
声も立てずに
笑っているってさ

そしてきっと子供たちは
見えない翼を生やして
おとぎ話の国へ
旅立った

落ちぶれた浮浪者は
捨てられた仔犬を抱いて
消えちまったもの全て
抱きしめて

よぉ
もっと
大きな声で泣け
もっと
大きな声で泣け
もっと
大きな声で泣いて

もっと
大きな声で泣け
もっと
大きな声で泣け
もっと
大きな声で泣けよ
なぁ


自由詩 喪失(歌詞) Copyright 結城 森士 2008-12-14 14:27:32
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