不完全に解き放つ
いのせんと


西高東低の天気が続く

晴れのち曇り
夜には雪になるでしょう

浮かれた音と光が乱反射
鈍色の空は静かに押し黙ったまま

泣いても、いいんだよ

ひとりごちる唇は自由だ
右手は少しだけ軽くなった

流れてしまいそうな身体を支えるだけの
力を失いかけて、唇は何かを
小さく震わせて発信しようとしているけれど
思い出に、解き放てないままの思いがソコに

指先が濡れた

私はまだ
不完全に解き放たれたままだ


自由詩 不完全に解き放つ Copyright いのせんと 2008-12-13 21:39:47
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