きづくひと
恋月 ぴの

神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので

幸せになりたいとお願いしてみた

神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた

期待に胸膨らませ夜通し起きていたのに
いつもと変わらぬ朝を迎えたし
昼になっても
夕方になっても
昨日までと何ら変わることなかった
と言うかその日から辛い日々が続くようになった

神さまってウソつきだったんだ

どうにもこうにも許せなくなって
神さまのところへ文句言いに行ったら

あれっ、約束どおり叶えましたけど
あなたのことだから気づいていると思ったのですが

うーん、そう言えばちょっとした心遣いに感激して
涙ぽろぽろながしたり
今まで振り返りもしなかった道端に咲く小さな花の可憐さに
はげしく感動するようになったけど

幸せなんてこんなものかな

人が死ぬ瞬間って
今まで経験したことも無いような幸福感に包まれるらしい
でも、そんな幸せって
その瞬間たった一度きりなのだから
小さな幸せひとつひとつを大切にってことなのかな?

あと何日かでメリークリスマス
ケーキ食べるぐらいしか思いつかないけど
なにかイベントでも考えてみようかな

せっかくだから雪でも降ってくれて
神さまに謝れるぐらい幸せ感じられたなら

おっきな雪だるまに
まんまる目玉とげじげじまゆげ




自由詩 きづくひと Copyright 恋月 ぴの 2008-12-12 22:07:08
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