冷たい床
いのせんと


昼寝から覚める夕刻に
酷く冷たい床に身を縮めて
温い膝に唇を当てた

ふぅと
吐きだされた息は床の上
ずずずと
滑るようにあちら側へと
流れていくのが見えたから
私なんだか
一人のような気になってしまって

手を伸ばして取り戻そうと
うんと伸ばしてみたのだけど
冷たい床に温度を取られて
指先は凍っていたから
私動けなくなってしまってた


暖色の光は
優しく撫ぜていくけれど
動かなくなってしまった私
感じるわけないのに

温かいもの
伏せてしまった眼の隙間
流れていくのを
止められないから

いっそう身を縮め
唇を強く押し付けるのです


自由詩 冷たい床 Copyright いのせんと 2008-12-10 17:30:36
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