木立 悟




灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目


はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置き手紙


波の上の月
狩る海鳥
滴に分かれる
とどまらぬ
糸の景 積む色
岩の街の窓
降りつづく色


埠頭 陸橋
吹雪のなかの
吹雪より高い影
通るもののない高架橋から
さらに白く
さらにまばゆく飛び立つ冠


頬の横
結びめをほどく
ほんの少し
明るくなる
あたたかな器のまわり
紙の鳥は眠る


野と野の境
かわかぬうなじ
枝から枝へ
伝い去る午後
片方の目の
片方だけの
灰とむらさき






















自由詩Copyright 木立 悟 2008-12-10 09:49:30
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