雨と歩く.doc
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雨が落ちてきた

それは今までのどんな雨よりも冷たくて
僕を体から冷やしていく

見渡すと人は皆雨の中にいた
雨の強さに泣き続ける人
雨の冷たさに耐え続ける人
雨から逃れようともがき続ける人
皆雨に打たれている
いつもと同じ光景だった

見上げると頭上には傷ついた傘があった
傘は温かくて僕の代わりに雨に打たれ続けていた
ああ雨はずっと降っていたんだ
傘にすがり雨を無視し続けた自分に気付くと
傷から流れる雨はみるみる増え
増えた雨は傷を増やし更に量を増やした

見下ろすと僕の手は傘を握り震えていた
絶対離すまいと雨の冷たさに怯えて震えていた
その震えは傘に伝わり
傘も震えぼやけ崩れていった
温かかった傘が温度を失くしていく

僕は手の震えを必死で抑えて傘を閉じた
無数の雨が僕に向かって降り続ける
冷たかった
痛かった
これが雨なのだとわかった

僕は雨に打たれ続ける
傷つきぼろぼろになりながら
温もりを最後まで失いきらなかった傘を携えて

僕は悲しみを受け入れる
傷つきぼろぼろになりながら
温もりを最後まで失いきらなかった思い出をしまって

ねえ君
君と僕の傘は君と僕の雨から今日まで僕を守り続けてくれたよ
だから
ありがとう
君と傘に
さようなら
君と雨に


自由詩 雨と歩く.doc Copyright K+A 2008-12-10 04:22:51
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