ごめんなさい
小川 葉

 
僕から君へ
それは届かないかもしれないけれど

届いてしまったなら
ごめんなさい
僕は
それが届いてしまった
世界であやまってばかりいた

ねえ、おかあさん
ここはどこなんだろうね
世界とは
いったい何なんだろうね

僕から君へ
それは届かなくてもよかったんだ

けれども届いてしまった
僕や君
みんな生まれてしまったんだ

届けたいものは
まだこんなに
たくさんあるんだけれども

いったいその質量は
宇宙という僕らの概念を
あっというまに超えてしまうから
不思議なものだね

ああ君は
過ちをしたんだね
死のうかななんて考えたりもしたんだね
生まれてしまった
なんて思いながら
どこかで母親は今日も子供を生むんだ

どうしてだろう
こんなこと
僕らが生まれる前からあったのに
思うこととは
不思議なことだよね

考えたり
考えなかったり
そのどちらも生きてることなんだから
不思議なことだね

郵便受けには
命以外に何も届かないけれど
届けたい気持ちはまだここにたくさん
あったりするんだね

だから
届いてしまったなら
もうあやまらなくていいんだよ
口癖になっちゃった
ごめんなさいは
やめてしまっていいんだよ

だって僕らは
罪を背負って生まれてきたわけじゃない
それは僕ら自身が知ってること
知らないことは
知らなくたっていい

ただ
そんな時に君が言う
ごめんなさいがほんとうは
君のやさしさだってことくらい
知っている

だから言わなくていいけれど
時々僕は君が言う
ごめんなさいを
信じてみたくなることがある

それがきっと
生きてるということなんだろうね

ありがとう
僕は今
君を信じてる
 


自由詩 ごめんなさい Copyright 小川 葉 2008-12-10 02:30:26
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