眠れない朝に
かんな
眠れないんだろうな
なんて
思う夜はやっぱり眠れなくて
二時間もすれば
なんだか
現実味もない夢で目が覚める
ヒーターの残り火が
まだ部屋をぬくめているようで
ぬるい
そんな朝はコンビニに行く
自転車でないといけない距離にあるので
コンビニエンス
なんだろうかと疑問を持ちながら
わたしは走る
小雨が降っている
昨夜のあなたからのメールでは
あられの嵐だよ。
なんて言っていたから
少しゆるんだんだろうか
コートはあたたかいけれども
手先は風を切って
冷える
そんな時に限っての信号待ち
誰も通らない車道
コンビニの扉を開けると
目の前に並ぶ
タバコの銘柄に目を通す
ないのか
目を細めながら探していると
店員が尋ねてきた
ああ、すみません。置いてないですね。
そうですか。
そんな会話が
薄っすら店内に響く
朝食は家にあった食パンで済まそうかと
そんなことを
ぼんやり考えていたら
目の前に
ポテトサラダの文字
買おうかな
サンドイッチでも作ろう
そうして
タバコは結局マルボロ
たぶんあなたも吸うだろうから
家に着くと湯を沸かす
ポットが音を立てる
その間にパンにマーガリンを塗り
ポテトサラダをはさむ
少しばかりの重しをのせて
四等分に切ってみる
湯が沸くと
ブラックのコーヒーを入れる
サンドイッチをほうばりながら
パソコンを開くと
かじかんだ指でキーボードをはたく
大半のサンドイッチを
コーヒーで胃に流し込むと
眠れなかった夜を思い返した
今しがた画面に打ち込んだ
ため息のような現実に
わたしは寝がえりをうってみるけれど
ほおばっていたパンに染みこむ
コーヒーの黒さに
夜を想像するしかない
そんな薄っぺらい夜が過ぎて
カフェオレみたいな朝がくる
残りのコーヒーをすすりながら
カーテンを開け放つ
そうして煙を浮かべて
おはよう
とつぶやいてみる