黒猫
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黒猫は
夜を切り取って
産まれました
それなのに
それなのに
夜に呪われていました
星たちは嘲笑い
月には嫌われて
何の意味も持たず
ただ、居場所を取ることを
罪だと感じて
そこに在りました。

白猫は
黒猫の切り取られた跡から
産まれました
それなのに
それなのに
月に愛されていました
星たちは祝福し
夜がその美しさを讃えて
何の憂いも無く
ただ、惜しまれて
すぐに死んでしまいました。

夜です。
黒猫は白猫のことを
思っています。
どうしてあのひとに
呪われてしまったのか
ひとしきり考えたけれど
遂にわからないままで。

どちゃり。

酔っ払いに蹴られました。
水溜りに突っ込み
激しい痛みと
こみ上げる涙を
じっと、堪えました。
見上げた月は
嗤っています。
星たちも
嗤っています。
そうしたらもう
上を向く強さは無くなって
しまって。

下を向いて
涙を零しました。
すると水溜りには
白い猫が映っていました。
月は笑っています。
星たちも笑っています。
波紋
ゆらゆら歪んだ世界では
皆優しく白猫を祝福して
いました。

そして黒猫も
ゆっくりと笑いました。




自由詩 黒猫 Copyright xxxxxxxxx 2008-12-03 23:05:54
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