余白ノ顔 
服部 剛

手にした「水版画」という本を開き
(うた)という詩の行間で 
夕暮れのすすき野原に立つ彼 

今は亡き女の風の面影に 
いつまでも手をふり 

すすき等もまた 
金色の海の波間に 
うたいながら 
身を揺らし 

本の頁めくった
詩のあとの余白に 
面長の女の顔の輪郭で 
垂れていた
白い紐のしおり 

目鼻の無い頬を落ちる 
いくつもの涙の滴 
滲んで消えた 





自由詩 余白ノ顔  Copyright 服部 剛 2008-12-02 22:45:15
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