【短歌祭参加作品】 海のおはなし
アイバ シュウ
潮飴は砂糖と海水1:2 沖波駅の名産品です
灯台の指令届かぬ海底に誰かが飛ばした風船のくず
「鼻血ってなんだろうねえ」「なんだろね」しゃべるクラゲの触手は赤い
「剃髪は銀の背の魚でします」タコの床屋の褪せたポスター
押しボタン式信号がある夏はここから東に2km泳いで
温暖化してる地球の間違いでぼくは3年寒流を待つ
「にんにくとは合わないのよね」とイタリアンメイクでまばたきイカの奥様
ミシン目のようにおんなじリズムにはなれない波の青き遊走
舌のある魚でいても声がないマーメイドよりぼくはしあわせ?
アトランタみたいにいつか東京も沈むだろうか海はしらない