震える手へ

あなたの両手が
震えている

掌からは
せわしない日常が

ゆっくりと零れていく


歳グヮ トッタネ


母よりも白い手で
母と同じくらいの愛情で
母とは違う眼差しで

ゆりかごから僕を見ていた


いつだって、あなたは優しい


いくらか硬くなった
しわしわの顔

目が合えば少し笑う



ヤーヤ、ターヤタガ?


少し戸惑い
震え出した両手に

僕も少し
泣きたくなるけど

笑って聞こえないフリをする

丸い背中をそっとさする



オバァ、ヒーサンネーラミ?


忘れないでとは言えないまま



震えはとまらないのかもしれないし
僕は無力なままなのだろう



だけど、なのに



虚空の中でぼんやりと呟く声




ヌクイ



時代を知らぬ僕の頬にも


柔らかな水滴







自由詩 震える手へ Copyright  2008-11-28 11:23:56
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