代打
北村 守通

見知らぬ人が
兄の名を呼んだ
父と
母は
やさしく訂正し
弁明したが


祖父は私の名前を知らなかった


手を握られてしまって
逃げることすらできない


しきりと兄の名を呼ぶ声に
苛立ちを覚えたので
特別御奉仕の
笑顔をセットにして
やさしく返事をし
柔らかく
温かく


干からびた手をなんとかして握りかえした


翌日
見知らぬ人の棺と共に
青い車に乗った
見知らぬ人の運転で
何も知らないうちに担ぎ出され
更にしつこい挨拶に
腰をいためた


結局
兄は来なかった
私は
当然の権利として
請求書を送りつけたが
未だ回収できていない


自由詩 代打 Copyright 北村 守通 2008-11-24 21:11:25
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